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1 はじめに

1.3 調査の視点

本調査は個別の事業の効果を評価するのではなく、政策の効果や、政策と個別の事業の関係を評価するものである。アジア通貨危機によってアジア諸国が受けた経済的悪影響(経済状況)、それに対する日本の支援政策、政策に基づく事業、事業の効果、事業の効果と最終的な目標(経済の安定化、経済成長軌道の回復・上昇)の関係は、図1-1のように示すことができる。

図 1-1   調査対象国の経済状況と日本の支援政策・事業の関連
図 1-1   調査対象国の経済状況と日本の支援政策・事業の関連

ここでA、B、C、D、Eの記号は、

  • 立案した政策が各国の経済状況に見合ったものであったか(A)
  • 事業は政策を反映したものであったか(B)
  • 事業は意図したとおりに進捗したか(C)
  • 事業の効果が意図したとおりに現れたか(D)
  • 事業の効果が最終的な目標(経済の安定化、経済成長軌道の回復・上昇)につながったか(E)

を意味している。この調査では特にAとBについて分析・評価を行い、C・D・Eについては、3国の代表的事業について事業の進捗や効果を既存資料から確認した。

なお、4章から6章の分析では、評価の対象とした政策や事業は、1997年7月のタイにおける通貨危機の発生時から2000年度末までとした。これは、2000年12月末に国際通貨基金(IMF)がタイにおける通貨危機対策プログラムの事後評価を終えていること、3章で見るように、2000年には実質GDPの水準が1995年の水準まで回復したためである。一方、日本のアジア通貨危機支援策の全貌を俯瞰する第2章では、2002年3月までに実施した政策や事業を扱っている。


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